いきなり英語でメールのやり取りが求められたら不安になりますよね。
スペルは合っているか、単語や意味は大丈夫か、失礼にならない表現になっているのかなど慣れないことをやるのは時間もかかります。メールは手紙と違い、スピードを期待されてしまいますのでそこが心理的負担になってしまうケースもあります。
しかし、英語のメールは定型文で問題ありません!
実際のビジネスシーンでもスピードを優先し、定型文のやり取りが殆どです。
ただし、よく意味を調べずネット上の定型文を送ってしまうのはNGです。
少なくともこれからご紹介する失礼にならないフォーマルな定型文を活用することをオススメします。少しぐらい固く感じる部分があってもそれはご愛嬌です。変なカジュアルメッセージを送って相手の機嫌を損なうよりかは100倍マシです。
はじめはコピペで対応し、慣れてきたら手入力、文構造を理解できたら単語を置き換えて自分なりのメッセージにしてみるなど、徐々にアレンジを加えていきましょう。
1.英文Eメールのテンプレート
テンプレートを活用していく前に、日本語と英語のメールの違いを確認しておきましょう。
間違っても日本語のメールをそのまま英訳すればいいという考えは避けたいところです。
日本語のメールと英語のメールとの違いを知ることから始めましょう。
特に押さえておきたいポイントは下記3点です。
① 英語のメールでは2通目以降、自己紹介は不要
初めてメールを送る際は、日本語でも英語でも簡単な自己紹介を書きますが、2通目以降は英語では「●●社の〇〇です」などの自己紹介は必要ありません。
② 英語のメールではメイントピックをはじめに持ってくる
日本語のビジネスレターでよく使う「拝啓~お世話になっております」などの挨拶文は必要ありません。英語のメールでは、いきなり主題(メイントピック)からはじめ、冒頭でメールの内容を明確に相手に伝えます。
③ 本文に相手の会社名の記載は不要
本文の冒頭で「●●社〇〇様」と相手の会社名を書く必要はありません。英語の場合は「Dear+名前」や「Hi+名前」」のように、名前だけを書きます。
それでは、英文Eメールで用件を明確に伝えるために、Eメールの構成、すぐに使える定型表現やコツをご紹介します。
まず、英文Eメールの構成と各部の書き方を見てみましょう。
(例)
Date: 23 June, 2017 09:45:36 +0900 |
Dear Sir or Madam, ①
I saw your advertisement in the June issue of “ABC Magazine”, and I look forward to hearing from you. Sincerely, ③ Steve Wilson ④ |
(訳)
日付:2017年6月23日 9時45分 発信者:s-wilson@tac.co.jp 宛先:cservice@star.co.jp cc: bcc: 件名:カタログ請求 |
拝啓 私は TAC コーポレーションで マーケティングを担当しているSteve Wilsonと申します。 ABCマガジンの6月号で貴社の広告を拝見し、貴社の製品に大変興味を持っています。 ご連絡をお待ちしております。 敬具 TAC コーポレーション |
1-1 件名 Subject
送ったメールを確実に、いち早く読んでもらうためにも、メールの内容が一目でわかるような具体的で簡潔な件名を付けることが大切です。取引関係のメールで注文番号や請求書番号があれば、その番号を明示するとよいでしょう。
● 件名の代表例
確認 | Confirmation for use of personal information | 「個人情報の利用についてのご確認」 |
共有 | Sharing (meeting minutes) | 「議事録の共有」 |
提案 | Suggestion for improvement | 「改善のご提案」 |
緊急・至急 | Urgent Request for Payment | 「支払いに関する緊急のお願い」 |
問い合わせ | Inquiry about Printers | 「プリンターに関する問い合わせ」 |
依頼・請求 | Request for Quotation | 「見積もり依頼」 |
お願い | Request for Business Appointment | 「商談のお願い」 |
お礼 | Thank You for Your Order | 「ご注文ありがとうございます」 |
注文 | Order for eReader (Item # A32) | 「電子書籍の注文(商品番号A32)」 |
招待 | Invitation for Feb. 8 Conf. Call | 「2月8日の電話会議の招待」 |
予定の確認 | Schedule Confirmation for March 12 | 「3月12日のスケジュール確認」 |
変更 | Change of [in] Schedule | 「スケジュールの変更」 |
お知らせ | Notice of Shipment (Order No.115) Notification of Product Price Change |
「発送のお知らせ(注文番号115)」 「製品価格変更のお知らせ」 |
お詫び | Apology for Delay in Shipment | 「配達遅延のお詫び」 |
【補足】返信の際のReはそのまま使用します。
● 注意
次のような抽象的な件名は、スパムメールと間違われる可能性があるので避けましょう。
Inquiry / Document / Urgent / Important / Information / New product / Appointment /
Hi! / Hi there! / Hello! / Call now! / Free! / Good news! / Hurry! / Congratulations!
1-2 本文
① 敬辞 Salutation
「拝啓、~様へ」にあたる部分です。一般的な敬辞は、< Dear + 敬称(Mr., Ms.など) + 相手の姓 >です。最後に「, (コンマ)」を付けるのはイギリス式、「: (コロン)」を付けるのはアメリカ式です。
《イギリス式》 Dear Mr. Wilson, / Dear Ms. Wilson,
《アメリカ式》 Dear Mr. Wilson: / Dear Ms. Wilson:
女性に対する敬称は、未婚・既婚を区別しないMs.を使います。親しい相手なら、Dear Steve,
Hi Steve, Steve, のようにファーストネームを使いますが、敬称にファーストネームを続けるのは誤りですので注意しましょう。
〇 Dear Mr. Wilson,
〇 Dear Steve,
× Dear Mr. Steve,
● 相手の性別がわからない場合
名前だけでは性別がわからない場合、< Dear + Mr./Ms. + 相手の姓 >、または敬称を省略してフルネームを書く方法があります。
Dear Mr./Ms. Kumar,
Dear Anjali Kumar,
日本語の感覚では、敬称を省略すると「呼び捨て」のように感じるかもしれませんが、アメリカではごく一般的な書き方です。特に昨今、non-sexist salutation(非性差別敬辞)の観点から、敬称なしで相手のフルネームを記す宛名が増えています。
● 相手の名前がわからない場合
個人名がわからない場合は次のように書きましょう。
Dear Sir or Madam, 「拝啓」(相手が単数)
Dear Ladies and Gentlemen, 「拝啓」(相手が複数)
To Whom It May Concern, 「関係者各位、ご担当者様」
● 役職や担当部署はわかる場合
役職や担当部署がわかれば宛名にできます。
Dear Sales Director, (販売部長宛)
Dear HR Manager, (人事部長宛)
Dear Factory Manager, (工場長宛)
Dear Customer, (顧客宛)
Dear Employee, (社員宛)
Dear Shareholder, (株主宛)
② 主文 Body
「書き出し」→「主文」→「結び」の構成を意識しましょう。この順番で書くと、相手にもとても読みやすい文になります。
書き出し(メールを書く理由・状況説明) |
↓
主文(具体的な内容) |
↓
結び |
日本語では、「いつもお世話になっております」などの挨拶から書き始めますが、英語では、ビジネスでもそのような決まり文句で書き出す習慣がないため、レター・Eメールにかかわらず、儀礼的な前置きは不要です。詳しい書き方は、2.英文Eメールの定型表現で扱います。
③ 結辞 Complimentary Close
日本語の“敬具”、“かしこ”、“よろしくお願いします”などにあたるものです。最も一般的な結辞はSincerelyで、後ろにコンマを付けるのが普通です。いくつかの例とフォーマル度を示します。
フォーマル Respectfully, / Respectfully yours,
ややフォーマル Sincerely, / Sincerely yours, / Yours sincerely,
カジュアル Regards, / Best regards, / Kind regards, / Many thanks, / Thanks, etc.
*親しい相手とのメールでは、Thank youで終わることもあります。
④ 署名 Signature
自分の名前をフルネームで書きます。外国の方に初めてメールを送る場合には、(Ms.) Yoko Mori、Yoko Mori (Ms.) のように、前後いずれかに敬称を書くとよいでしょう。また、日本では名前を英文で表記する際、「姓→名前」ではなく「名前→姓」の順で書く人もいるため、外国の方が混乱することがあります。どちらが姓で、どちらが名前かをはっきりさせるには、
Yoko MORI < 名前 + 姓を大文字表記 >
MORI, Yoko < 姓を大文字表記 + ,(コンマ) + 名前 >
Mori, Yoko < 姓 + ,(コンマ) + 名前 >
のように書くとよいでしょう。
海外とのやり取りが多い場合は、電話番号を、日本の国番号(81)から記すことがあります。このとき、市外局番の最初の0(ゼロ)を取った番号を続けます。東京なら03の0を取って、+81-3-…です。他に、国内の人にもわかりやすいよう、+81-(0)3-…と0を括弧に入れる書き方も見かけます。+から始めるのは、海外から日本に電話をかける場合、81の前に国際電話認識番号などが入るためです。
●署名のサンプル
パターン1 | パターン2 | パターン3 |
Mori, Yoko (Ms.) ABC Company |
Mori, Yoko (Ms.) ABC Company Phone: +81-(0)3-1234-5678 E-mail: y-mori@abc.co.jp |
Mori, Yoko (Ms.) Sales Manager ABC Company 1-2-3 Asahi, Chiyoda-ku, Tokyo, 100-1234 Japan Phone: +81-(0)3-1234-5678 Fax: +81-(0)3-1234-5679 E-mail: y-mori@abc.co.jp URL: http://www.abc.co.jp |
メールソフトの機能を使い、氏名、役職名、部署名、会社名、電話番号、fax番号、Eメールアドレス、会社のホームページアドレスなど必要な情報を入れて、いくつかのパターンを登録しておくと便利です。
2.英文Eメールの定型表現
英語でメールを書くときに、意外に時間を費やしてしまうのが書き出しではないでしょうか。わかりやすく、メールの主題がわかる書き出しで始めると、相手にも伝わりやすいシンプルなメールを書くことができます。まずは、書き出しのパターンと関連表現を覚え、文末を少しずつアレンジして自分の言葉で書けるように練習しましょう。
2-1 自己紹介
My name is _________, 「私は_________と申します」
and I work at [ company ]. 「〇〇会社で働いています」
and I work in sales at [ company]. 「〇〇会社の営業部で働いています」
and I am responsible for [ … ] at [ company ]. 「〇〇会社で…を担当しています」
and I am in charge of [ … ] at [ company ]. 「〇〇会社で…を担当しております」
and I am a colleague of [ … ] at [ company ]. 「〇〇会社で…の同僚です」
2-2 ~をありがとうございます
Thank you (very much) for your e-mail dated Feb. 27. 「2月27日付のメールを …」
Thank you (very much) for visiting our office yesterday. 「昨日は、弊社にお越しいただき …」
I appreciate your quick response. 「迅速なお返事をいただき …」
I appreciate your arranging the trip. 「出張を調整していただき …」
2-3 目的を説明する
I am writing to inform you about … 「~についてお知らせするためにメールを書いております」
I am contacting you to … 「~するためにご連絡しております」
I am e-mailing you to … 「~するためにメールしております」
This is to inform you that [of] … 「このメールは~をお知らせするものです」
This is to confirm … 「~について確認するものです」
This is in response to … 「…に対する返答です」
The purpose of this e-mail is to … 「…このメールの目的は …」
2-4 よい知らせ
We are happy [pleased] to inform you that we will start selling a new line of products in June.
「6月に新商品の販売を開始することを(喜んで)お知らせします」
It is our pleasure to inform you that we will open our second store in March.
「3月に2号店をオープンすることを(喜んで)お知らせいたします」
2-5 悪い知らせ
We are sorry to inform you that the item you ordered is out of stock.
「大変申し訳ございませんが、ご注文の商品は在庫がございません」
We regret to inform you that your proposal was not accepted.
「大変申し訳ございませんが、御社のご提案は承認されませんでした」
I’m afraid there has been a delay in shipment. 「残念ながら、発送に遅れがございました」
Unfortunately, there has been a change of plans. 「残念ながら、予定に変更がありました」
2-6 急なお願いをする
I am sorry for such short notice, but … 「急なお願いで申し訳ございませんが …」
I am sorry for the last minute notice, but … 「直前のお願いで申し訳ございませんが …」
I need to ask an urgent favor of you. 「緊急なお願いがございます」
2-7 添付ファイルの説明
Please find attached the estimate for the product. 「製品の見積もりを添付いたしました」
Attached are the minutes from our meeting. 「会議の議事録を添付しています」
I have attached the PowerPoint slides of the presentation.
「プレゼンのスライドを添付しました」
2-8 ~していただけますか / ~してくださいませんか
Could you …? / Would you …?
Do you mind ~ing …?
Would it be possible to …?
I wonder if …? / I was wondering if …?
2-9 ~していただけるとありがたい
I would appreciate it if you (could) …
It would be appreciated if you (could) …
I would be grateful if you (could) …
2-10 返信の遅れを詫びる
I apologize for the delay. 「返事が遅くなりまして申し訳ありません」
I’m sorry for not responding sooner. 「返事が遅くなってすみません」
I was not able to reply sooner because … 「…のため、すぐに返事ができませんでした」
2-11 ご迷惑をおかけして申し訳ありません
We apologize for any inconvenience this may have caused you.
We apologize for the inconvenience.
We are sorry for the inconvenience.
We are sorry to inconvenience you. / We are sorry to have inconvenienced you.
2-12 ~お知らせください
Please let me know if you want to reschedule. 「予定を変更したい場合は教えてください」
Please advise me of the current status. 「現在の状況についてお知らせください」
2-13 返事をお待ちしております
Please respond by 15:00 on April 8. 「4月8日の15時までにお返事ください」
” within a couple of days. 「2、3日中に …」
” as soon as possible.* 「できるだけ早く …」
” at your earliest convenience. 「ご都合のよいときに …」
I would appreciate your prompt reply. 「すぐにお返事いただけるとありがたいです」
*as soon as possibleは、国や地域によって受け止め方が異なりますので、by ~(~までに)など、具体的な期日を示すとよいでしょう。
2-14 結びの一言
We look forward to hearing from you. 「お返事をお持ちしています」
We look forward to meeting you. 「お会いするのを楽しみにしています」
Please feel free to contact us, if you have any questions.
「何かご質問がございましたら、お気軽に…」
Don’t hesitate to ask me any questions. 「質問があれば遠慮なく聞いてください」
3.《番外編》 日本語と英語でメールを書く場合
日本人と英語圏の方へ同時にメールを送る際に活用しましょう!
メールの件名は日本語と英語で書き、メールの1行目に”English follows.”や “Please scroll down for English.”と書くと分かりやすいです。日本語と英語を交互に書くと読みにくくなりますので、避けたほうがよいでしょう。
From: [mailto: ymorishita@tac.co.jp] Sent: Thursday, March 15, 2018 10:07 AM To: All employees Subject: 社内組織改編のお知らせ / Notification of Company Reorganization |
社員各位 English follows. …をお知らせいたします。 どうぞよろしくお願いします。 人事部 All employees, We are pleased to announce that… Regards, Morishita, Yuri |
4.まとめ
まずは、基本的なルールを「1.英文Eメールのテンプレート」から押さえておけば安心です!
応用範囲として「2.英文Eメールの定型表現」を活用する際は、「単語登録」や本ページをブックマークしておくと便利ですよ。1日1定型表現を使ったメールを作成してみるのもオススメです。
日本語と違い、英文Eメールは合理的に伝えたいことをまず伝えることに重きを置いた構成がポイントです。
日本語メールでも同様ですが、長文で言いたいことを後回しにする曖昧な表現や相手に忖度を求めるような表現は嫌われます。出来るだけ簡素化して具体的に伝えることを意識しましょう。
メールを送るまでに余裕がある方は、一度作成したメール文章を他の方に添削してもらう、もしくはより分かりやすく簡素化させることができないかを見直すとより良い文章が作成できます。
まずは、短い文章から作成してみましょう。数を重ねることで着実に英文Eメールの作成能力は伸びていきます。
慣れてきたら、定型表現を使ってバリエーションを増やしていきましょう!
ここに用意している定型表現を使いこなせたら、英文Eメールの達人クラスです!
英文Eメールを使いこなすことができれば、仕事やプライベートでの活躍の幅は間違いなく広がり
きっとあなたの評価は高まるでしょう!!
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