数ある語学トレーニング法の中で難易度が高いと言われるシャドーイング!
もともと同時通訳者の訓練法でしたが、英語総合力の飛躍的なアップを期待できることから脚光を浴び、一般の学習者の間でも広く取り入れられるようになりました。
しかし、同時通訳を想定したトレーニング法なので難易度高め。
トライしたけどいまいち効果が実感できず、やめてしまった方も多いと思います。
本記事は、そんなシャドーイングを活かして英語力を上げたい方のために、
プロの英語講師が実際に活用したオススメ教材をご紹介いたします!
シャドーイングをやりこなすことができれば、その効果にやみつきになるはずです!
それでは一緒に記事をみていきましょう!
目次
1.シャドーイングに最適なオススメ教材
シャドーイングはリスニング力の向上をさせ、英語のリズムを身に付けることができるので、英語力に関わらず実施して欲しいトレーニング法です。本章では英語初級者から上級者にオススメする書籍やアプリをご紹介いたします!
1-1 シャドーイングのオススメ書籍
【初級者向け】
英文が「ゆっくり」から「ナチュラル」まで3段階のスピードで収録され、難易度マークも付いているので、自分に合うレベルの教材から取り組めます。日常会話、休日の計画、観光地の紹介、物語などの多様な英文に触れることができ、アルクが編集した準語語彙水準SVL(Standard Vocabulary List)12,000語のうち、最初の1,000語のみを使用していますので、「語彙が難しすぎて分からない」ストレスから解放されます。『究極の英語リスニング』シリーズは4冊ありますから、レベルに応じて選べるのもポイントです。他にも、『究極のビジネス英語リスニング』シリーズ3冊、『究極のイギリス英語リスニング』シリーズ2冊もありますので、用途やお好みで使い分けてみてください。
【中級者向け】
初級者向けでご紹介したシリーズの続編です。この2冊では、英文が「ゆっくり」から「ナチュラル」まで様々なスピードで収録されています。また、使用する語彙はシリーズ2で2,000語、シリーズ3では3,000語となっています。
定型表現や単語を覚えることも大切ですが、自分が英語で話したいこと・伝えたいことを表現する英語をシャドーイングして体得してゆくことが、英語の発信力を鍛える近道です。『英語で始めよう!編』では、友人や同僚など身近な人との関係を作るコミュニケーションが中心、『英語で仕事!編』は会社・仕事の紹介、会食、出張、会議などのビジネスシーンが舞台です。2冊ともストーリー仕立てになっていますので、ストーリーも楽しみながら学習できます。
【上級者向け】
年2回出版され、各号に20のニュースが載っています。身近なニュースを通じて語彙や表現を学ぶのにも最適ですが、この書籍の特長は何といっても音声が充実していることです。ナチュラル音声、ゆっくり音声(ポーズなし)、ゆっくり音声(ポーズ入り)の3種類収録されていますので、リーディング教材としてはもちろん、リピーティングやシャドーイング教材としても、とても使い勝手がよいです。
【全レベル対応】
公式問題集は質の高い、生きた現代英語の宝庫ですので、シャドーイング教材としてもとても最適です。初級者はPart 1-2を、中上級者はPart 2-4を中心にご活用ください。TOEIC® L&Rテスト対策にもなりますし、単語力、表現力、会話力の向上にもうってつけです。
【ご自身で選びたい方向け】
上記までの一点ものではなく、このシリーズであればどれもシャドーイング教材として活用いただけると思えるものをご紹介いたします!ぜひ、参考URLからご自身で選んでみてください!
『NHK出版』
ちょうどよい教材がお手元にない方には、NHK語学講座のテキストがおすすめです。
レベルや目的別に様々な講座が揃っていて、内容や解説も秀逸、読み物なども充実しています。たいていの書店で扱っていますので、手に入りやすいのもポイント高いですね。ラジオ番組の音声はストリーミングでも聞くことができます。
(画像引用元:NHK出版 https://www.nhk-book.co.jp/pr/text/eigo.html)
『多聴多読マガジン』
多聴多読マガジンも様々な素材が詰まっていて使いやすいと思います。シャドーイングに欠かせない音声ダウンロードも可能です。また本サイトにはシャドーイングの具体的なやり方まで丁寧に指導しています(参考URL:http://www.cosmopier.com/eio/shadow.html)。これからシャドーイングをはじめるという方も事前に確認してみると良いでしょう。
(画像引用元:コスモピア http://www.cosmopier.com/eio/)
『ENGLISH JOURNAL』
世界のニュース、各界の著名人のインタビュー、ドキュメンタリー、最新の話題など、バラエティー豊かな英語が収録されています。ナチュラルスピードで収録された生の英語を楽しみながらオールラウンドな英語力を身に付けたい方向けです。ナチュラルスピードと言っても、中級者でも聞き取りやすい英語から上級者向けの英語まで幅広いレベルの英語が収録されています。最初は、2人以上での会話やインタビューなどからシャドーイングしてみてはいかがでしょうか。
(画像引用元:アルク https://www.alc.co.jp/ej/)
『Graded Readers』
各出版社で出しているGraded Readersは、学習者のレベルに合う本を辞書なしで楽しめるよう、単語数を制限し、全体の量や文法項目を調整している多読用の英語教材です。出版社のホームページで音声を聞けるものも多くありますのでチェックしてみてくださいね。
(引用元:はじめての多読 段階別の読みもの< Graded Readers , GR> https://tadoku.org/english/graded-readers/)
1-2 シャドーイングに使えるアプリ
持ち運びが楽で、スキマ時間などに気軽に効率よく勉強できるアプリは英語学習者にとってありがたいアイテムです!スマホをお持ちの方はぜひスキマ時間でお試しください!
シャドーイング – 最短で英語が上達するスピーキング学習アプリ

【オススメ理由】
予め用意された動画についている原稿を読み、正しくは発音できた単語は緑、できなかった単語は赤で表示されます!原稿内容は少し政治よりの内容が多いですが、シャドーイングの力は着実についてきます!慣れてきたら原稿なしで挑戦してみましょう。
POLYGLOTS(ポリグロッツ)

【オススメ理由】
多機能英語学習アプリとして有名なポリグロッツですが、カテゴリの中にある「リスニングができる記事」は英文と音声が付いているのでシャドーイングに最適です。シャドーイング以外にも多読に最適な英文も無料で使用できるのでぜひ活用してもらいたいです。
2.シャドーイング教材の選び方
シャドーイングは既に使い慣れた教材があればその教材を活用するのもオススメですが、選ぶ際の判断材料としていただきたい基準をいくつかご紹介します。
2-1 辞書を引かずに読んでみて、内容が7-8割程度分かるもの
知らない単語が出てきても、その単語の意味を推測しながら大まかな内容がつかめるくらいのものが最適です。シャドーイングの最終形は、文字を見ずに、また英語音声を止めずに音声についてゆく学習法ですから、英語にあまり自身のない方は、迷ったら、より易しい教材から始めてみてください。
2-2 1文が長すぎないもの(1文10単語くらいまで)
シャドーイングは、直聴直解力(英語が聴こえてくる順に、英語のまま意味を捉える力)を飛躍的に高めてくれるトレーニングでもあります。しかし、始めからあまり長い文章でトライしますと意味処理が追いつかなくなる可能性がありますので、最初は1文5語程度の会話文から少しずつ慣れてゆくとよいでしょう。
2-3 内容に興味が持てる、または読んで楽しいもの
興味を持てない教材でシャドーイングを行うのは苦行でしかありませんよね。「内容が楽しい」、「このナレーターの声がかっこいい」など、どんな理由でもOKです。高校生の時、初めて聞いたNHK語学講座のナレーターの声にひと耳惚れ(!?)し、「この人みたいに話せるようになりたい!」と、夜な夜なその人の話し方を真似しまくっていました。「楽しい」「うれしい」などの感情を伴った経験は記憶に残りやすいと言われています。せっかくシャドーイングをするなら、ぜひ楽しんじゃいましょう。
3.スキマ時間を活用したシャドーイング勉強法
シャドーイングは聞いた内容を口に出し続ける、という単純な作業ですが、慣れるまでは大変かもしれませんね。ただ、その効果は絶大ですのであきらめずに続けてみてください。そのためには、「いつ・どこで・何を」シャドーイングするかを先に決めておくことがポイントです。例えば、通勤通学の時間、ランチタイム、お風呂タイム、就寝前などに時間を作ってみましょう。日にやった内容を翌日に復習するなど、シャドーイングを習慣化してみてください!
また、シャドーイングをするには周りに人がいない静かな環境を確保して集中して取り組まなければ…!と思っていませんか?実はシャドーイングは、思いのほか時と場所を選ばないのです。例えば、電車の中でしたら口パクで行うこともできます。声に出さないといけないと理由はありませんので心の中で音声を追ってシャドーイングするだけでも十分なトレーニングになります!
ちなみに、私(著者)が初めてシャドーイングに出会ったのは、通訳養成学校でのことでした。当時、これほどメジャーな学習法になるとは想像していませんでしたが、考えてみますと、現在の私の英語力維持にシャドーイングが欠かせない存在となっています。とは言っても、なかなかシャドーイングのためだけに時間を取ることは難しいので、通勤の行き帰りに1駅前で電車を降りて片道約10分ずつ、ウォーキングを兼ねてブツブツとシャドーイングしながら歩いています。もはや、”No shadowing, no life!”です。
4.シャドーイング以外にもオススメしたい英語学習法
クイックレスポンス
方法: 英単語・イディオム・句・節・文章を見て(聞いて)、即座に和訳します。
効果: 視覚・聴覚を使い、意味処理能力の強化に効果的です。また、日本語を挟むことで意味理解の確認ができます。
注意点:きれいな日本語にする必要はありません。
スラッシュリーディング
方法: 意味のかたまりごとにスラッシュ(/)を入れ、かたまり単位で意味を把握します。
効果: リーディングのスピードアップ学習法として知られていますが、リスニングの意味処理能力向上にも効果大です。
注意点:細かく区切りすぎないよう注意しましょう。
ディクテーション
方法: 音声を適宜止めながら、書き取ります。
効果: 英文を書きとることで弱点を客観的に把握でき、弱点に絞った学習に役立てることができます。また、文法力、構文力、語彙力、意味処理能力が向上します。
注意点:聞き取れる箇所と、聞き取れない箇所を区別できるように書き取りましょう。
5.まとめ
最後までお読みくださってありがとうございます。
本記事のポイントを以下にまとめています。
【シャドーイング教材の選定基準】
・自分の英語力に合ったもの、または使い慣れたもの
・内容が7-8割は理解できるもの
・1文が長すぎないもの(1文10単語くらい)
・内容に興味が持てる、または読んで楽しいもの
また、教材を選定後の学習法として、スキマ時間(通勤通学の時間、ランチタイム、お風呂タイム、就寝前)を活用することをオススメし、その他の英語学習法として「クイックレスポンス」「スラッシュリーディング」「ディクテーション」も併せてご紹介いたしました。ぜひ、ご活用いただけたらと思います。
英語は継続が重要です。英語の講師もはじめから話せたわけではありません。
千里の道も一歩からです。この本記事をご覧になった方々が一刻も早くシャドーイングを始めて、
ご自身でその効果を実感していただけることを切に願っています。
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