TOEIC® L&R TEST(以下TOEIC)を受けた直後の感想のベスト3は
「疲れた!」
「難しかった!」そして、
「最後、全然時間が足らなかった!」というものです。
あなたはいかがですか?
TOEICは2時間で200問もあるテストですから、単純計算すると「1問あたり平均36秒」でどんどん解いていかなければなりません。英語力だけでなく、「解答するスピード」も問われているテストと言えるでしょう。
特に後半のリーディング問題の中でも最後のPart 7の読解問題は、もしもっと時間をかけることが出来るなら、解ける問題もたくさんあるのに、時間が足らなくなって適当にマークしてしまった、という方は少なくありません。
そこで、今回は「TOEICの時間配分」を知りたいというあなたのために、「時間切れ」になってしまう最大の要因になる、リーディング問題(Part 5, Part 6, Part 7)に絞って
・75分しかないリーディング問題をどのような時間配分で解けばよいのか?
・リーディング問題各Partの解き方と実例
をご紹介します。
目次
1 これで時間切れにならない! TOEIC Part別時間配分
まず、TOEIC全Partの問題数と時間配分の目安をご紹介します。
TOEIC全Part 問題数と時間配分の目安
Part名 | 問題数 | 時間配分 | |
リスニング問題 | Part 1 | 6問 | 約5分 |
Part 2 | 25問 | 約10分 | |
Part 3 | 39問 | 約17分 | |
Part 4 | 30問 | 約14分 | |
合計 | 100問 | 約46分 | |
リーディング問題 | Part 5 | 30問 | 約12分 |
Part 6 | 16問 | 約8分 | |
Part 7 | 54問 | 約55分 | |
合計 | 100問 | 約75分 | |
総合計 | 200問 | 約121分 |
前半のリスニング問題は、流れてくる音声に従って解答するので、この時間配分でいくしかありません。
TOEICで時間切れになってしまう最大の原因は、後半のリーディング問題で「Part 5と6に時間をかけ過ぎて、Part 7を解く時間が足らなくなった」からですよね。
もしあなたもそうならば、リーディング問題は上記の「時間配分」を意識して解いてみることをお勧めします。
2 リーディング問題(Part 5, 6, 7)全体の時間配分
リーディング問題で時間切れにならないための時間配分のポイントは、以下の3点です。
(1)各Part冒頭のDirections(指示文)は読まない
(2)Part 5と6で最大20分、できれば15分で解き終える
(3)Part 7は55分~60分かけて解く
(4)その他、Part 5, Part 6, Part 7 解く順番について2パターン紹介します。あなたはどちらのタイプですか?自分にあっているほうの解く順番をお選びいただければと思います。
パターン | 解く順番 | おススメしたい方 |
Aパターン | ![]() Part 5 → Part 6→ Part 7 の順で解く |
・Part 5と6が得点源である ・Part 7のMP問題は手が出ない ・現在のスコアが500点未満だ ・500点以上だがこの順番でずっと解いてきたので今さら変えたくない |
Bパターン | ![]() Part 7 (MP*)→Part 7 (SP*) →Part 5 →Part 6の順で解く |
・Part 7で時間をかければ正解できた問題があったと思う |
*MP=マルチプルパッセージ 2文章または3文章の問題、SP=シングルパッセージ 1文章問題のこと
それでは、今度はリーディング問題Part別の時間配分について一緒に見ていきましょう。
2-1 Part 5(短文穴埋め問題)は、テンポよく!5秒で解ける問題もある
Part 5は短い文に1ヵ所ずつ空欄があり、その空欄に当てはまるふさわしい語を4つの選択肢の中から1つ選ぶ問題です。問題数は30問、1問あたりかけてもよい時間は最大でも30秒、Part 5全体で12分以内に解き終えましょう。中には5秒で解ける問題もあるので、このような問題はすばやく解いて時間を節約しましょう。
① 5秒で解ける「文法問題」はこう解く
例題
問題 | 訳 |
101. It is a good idea to lower the volume of the PA system ——- when connecting a second microphone. (A) slight |
2本目のマイクを接続するとき、PAシステムの音量を——-下げるのはいいアイディアです。
(A) わずかな(形容詞) |
解答手順
この問題は以下(1)→(2)の手順で解きます。
(1)初めに(A)(B)(C)(D)4つの 選択肢を見ます。
選択肢を見ると、どれも似ている単語で、よく見ると語尾だけが違うことがわかります。
これは文法の知識だけで解ける「文法問題」と言われ、短時間で解ける可能性が高い問題です。
(2)空欄の前後を見る
・空欄の後ろは、whenから始まる節になっているので、空欄までで完結する文になるはずです。
ということで空欄の前だけを見ることにします。
・空欄の前は「the volume of the PA system(PAシステムのボリューム)」という名詞のかたまりがあり、これはその前のlower (ボリュームを下げる)の動詞の目的語になっています。
・そうすると、空欄の語はあってもなくても文が成立します(「PAシステムのボリュームを下げる」、だけで意味が通じる)。
・したがって、空欄にはlowerを修飾する副詞(この副詞がなくても意味が通じる)が入るはず
・副詞は多くの場合語尾がly で終わるので
lyで終わっている(D)slightlyを選びます。
文頭のIt is a good ideaから読んで、次に選択肢を見るという順番で読んでしまうと時間がかかってしまいます。上記の手順でこのような「文法問題」はさくさく解いて、時間を節約しましょう。
② 「文法問題」より時間がかかる「語彙問題」はこう解く
語彙問題の場合は(1)(2)の手順に加えて、(3)意味から判断する というステップが加わります。
「文法問題」よりも少し時間がかかります。
例題
問題 | 訳 |
102. As the 8th Street exit from the highway is under repair, downtown traffic will be —— to the 4th street exit instead. (A) diverted
|
幹線道路の8番通り出口が改修中のため、都心への交通は4番通り出口へ——。
(A) divert「…を迂回させる」の過去分詞(正解) |
解答手順
上記文法問題と同じ(1)(2)の手順で見ていくと、空欄には「~させられる」を意味する過去分詞が入ることが分かりますが、選択肢の単語はすべて過去分詞なので
(3)あとは、選択肢の単語の意味から判断するしかありません。(A)のdivertが迂回させるという意味であることを知っていれば解ける問題です。
③ Part 5 で答えがわからないとき、迷った時は
Part 5の文法問題と語彙問題は、この文法を知っているか、この語彙の意味を知っているかを問う問題なので、答えがわからない時や迷った時は、それ以上時間をかけて問題を見つめても答えは出てきません。その時は潔く、(A)(B)(C)(D)いずれかにマークして次の問題に進みましょう。
2-2 Part 6(長文穴埋め問題)の「文挿入問題」は捨ててもいい
Part 6は長文に4ヵ所空欄があり、それぞれの空欄に入る語句や文を選択肢から1つずつ選ぶ問題です。
「ビジネスレター」「Eメール」「記事」「通知文」などが題材として取り上げられています。
解き方はPart 5と同じですが、Part 6 特有の「文挿入問題」(以下の例題18番のような問題)は時間がかかるので、時間が足らない場合は捨てても構いません。TOEICは易しい問題も難しい問題も配点は変わりません。Part 6の「文挿入問題」のように難しい問題には時間をかけ過ぎないようにしましょう。
例題
Questions 16-19 refer to the following notice.
|
16. (A) That (B) Each (正解) (C) Next (D) On |
18. (A) With your help, we can do even more.(正解) (B) We look forward to your staying with us again. (C) This policy has provided the following benefits. (D) We would like to thank you for your cooperation. |
17. (A) conserves (B) conserving(正解) (C) conservation (D) conservatively |
19. (A) request (B) contact (C) inform(正解) (D) indicate |
(問題文の訳)
問題16-19は次のお知らせに関するものです。
Mejatelホテルにご宿泊の皆様 16. 毎日、当ホテルの洗濯設備では数百枚のタオルや寝具類を扱っております。これらの物を洗濯、乾燥するには大量の水と電気を消費します。 地球を救うために、我々の役目を果たすお手伝いをしていただけるようよろしくお願いいたします。 |
2-3 Part 7(読解問題)は必ず「答え」が問題文の中にある
Part 7は「手紙」「申込用紙」「通知」「広告」「メモ」などの文章を読み、質問に対して正しい答えを選択肢から選ぶ問題です。1つの文章を読むシングルパッセージ問題と2つまたは3つの文章を読むマルチプルパッセージ問題があります。
問題の種類 | 内容 | 問題数 |
シングルパッセージ問題 | 1つの文章を読んで答える問題 | 10題 29問(1題2~4問) |
マルチプルパッセージ問題 | 2つの文章を読んで答える問題 | 2題 10問(1題5問) |
3つの文章を読んで答える問題 | 3題 15問(1題5問) | |
Part 7計 | 15題 54問 |
このPartが苦手、という方が多いのですが、Part 5や6と違って、Part 7は質問されていることの答えは必ず文章中にあるので時間をかけて解くことができれば、正答数を上げることができるPartです。
ただし、時間をかけて解く、といっても、読み物として全文をじっくり読むのではなく、以下の解答手順で解きましょう。
Part 7の解答手順
(1)パッセージの上の “refer to the following”のあとの語句を見て、パッセージの種類を把握する。
(例)Questions 147-148 refer to the following notice.
(訳)問題147-148は次のお知らせに関するものです。
※ここではnotice(お知らせ)という語を見て、「これは何かのお知らせなんだな」と事前に文章の種類を把握してから読み始めると気持ちの負担が軽くなります。
(2)記事のタイトルやサブタイトル、太字でセンタリングになっている部分があれば、目を通して「何についての話か」を把握する。
(例) Interoffice memorandum (社内メモ)
これを見て、「同じ会社の社員間で交わされるメモ」だと把握できます。
(3)7つの質問文のタイプとそれぞれの問題の探しやすさを確認する。
Part 7 の質問文には7つのタイプがあります。それぞれの質問文で問われていることに対して、その答えを探しやすいかを考えて自分に解けそうな問題から解答していきましょう。
Part 7で出題される質問文のタイプと難易度は以下のとおりです。1→7に従って難易度があがってきますので、自分が解けるタイプの質問から先に解答していきましょう。
質問文のタイプ
質問文のタイプ | 説明と出題例 | |
1 | 類義語を選ぶ問題 | 本文中の単語の類義語を選択肢の中から選ぶ問題です。質問文の中にあらかじめ見るべき段落と行が示されているため、難易度の低い問題です。
(例)The word “nomal” in paragraph 3, line 4, is closest in meaning to |
2 | 意図を問う問題 | 文章中の特定の表現の意味を問う問題です。前後の文脈から判断します。
(例)At 9:37, what does Ms. Pearce mean when she writes, “Defenitely“? |
3 | 主旨を問う問題 | 文章全体の内容について問う問題で、中にはタイトルや本文の冒頭だけ読んで答えられたり、ところどころわからないところがあっても概要を理解できていれば答えられる問題です。
(例)Where do these two most likely work? |
4 | 具体的な情報を 求める問題 |
キーワード周辺の文章を読むことで素早く解答できます。逆にキーワードが言い換えになっているものは探しづらく、解答に時間がかかります。
(例)Who wrote this memorandum? |
5 | “NOT” が含まれる問題 | “NOT” が含まれる問題は、選択肢の中から間違っているものを探し出す問題です。広範囲にわたって文章に目を通し、文章中に述べられている内容を消去法で消していくことが必要になるため、解答に時間がかかります。
(例)What is NOT indicated about the report? |
6 | 文を挿入する 問題 |
文章中の4つの空欄のうち、与えられた課題文を挿入すべき適切な箇所を1つ選ぶ問題です。空欄の前後の文意を把握する必要がありますので、解答に時間がかかります。
(例)In which of the positions marked [1], [2], [3], and [4] does the following sentence best belong? |
7 | 内容一致を求める問題 | What is true about…? や What is indicated…? などの質問で、文章の内容と選択肢の一致を問う問題です。選択肢を一つ一つ文章の内容と照らし合わせて検証する必要がありますので、解答に時間がかかります。
(例)What is suggested about InstaShop? |
※ここまでリーディング問題の時間配分についてご案内してきましたが、TOEICリスニング問題の時間配分や解き方についても気になるというあなたには
「TOEICリスニング問題が聞き取れない!を克服するPart別対策」でご案内しています。
よろしければご覧ください。
3 まとめ
いかがでしたか?
TOEICリーディング問題で時間切れにならないためのポイントは以下の5点です。
・Part 5とPart 6は20分、できれば15分以内で解く
・Part 7に55~60分の解答時間を確保する
・Part 5とPart 6は選択肢から見て、問題の種類を把握し、さくさくと解く
答えがわからない時は潔くあきらめて次の問題に進む
・Part 6の文挿入問題は捨ててもよい
・Part 7もじっくり全文を読むのではなく、質問文の難易度を見て、できるものから解答する
以上をご参考にしていただき、次回のTOEICでは、「リーディング問題を最後まで解けた!」という結果になり、その結果TOEICの目標スコアを突破されることを心より願っています。
コメント